
- 所属
- 繊維機械事業部 営業部
- 職種
- 営業統括部長
- 出身学部・専攻
- 法学部法律学科
- 入社年
- 1989年入社
| 1989年 | 入社 繊維機械事業部国内販売部に配属。営業として、国内の紡績会社などを担当。 |
|---|---|
| 1991年 | 輸出部に異動。 海外営業として、最初の3年間は韓国を担当し、その後ASEAN担当に。 |
| 1996年 | MJSサブプロダクトマネージャーに抜擢。 以後、MJS・VORTEXの販売拡大に取り組む。 |
| 2001年 | 販売部第2課長就任。 |
| 2010年 | 営業統括部長(現職)に就任。 |
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世界に拠点を持ち、グローバルに事業展開している点に惹かれた。特に、当時のリクルーターから「入社2年目で海外駐在している社員がいる」という話を聞き、「若いうちから自分も海外で活躍するチャンスをつかめそう」と感じた。
MJS(ムラタ・ジェット・スピナー)は、1979年に村田機械が世界で初めて開発した、空気の力で糸を紡ぐ技術を用いた精紡機。それまでの紡績はリング精紡という紡績方法が主流だった。将来の競争力強化を見据え、「新たな方法で、これまでと違う糸をつくろう」と考え、当社はこの独自の精紡機を作り上げたのだ。だが、当初は売れなかった。MJSで紡いだ糸は、リング法の糸と比べて「硬い」と言われ、評価してもらえなかったのだ。1996年、私はこのMJSのサブプロダクトマネージャーに任命された。初めてもらった肩書き。大きなやりがいを感じ、私はMJSの拡販に取り組んだ。
MJSはアジアでは売れていなかったが、米国では売れていた。なぜなのか?まずその調査と分析に着手。するとアジアでは「硬い」と敬遠されている糸が、米国ではシーツやテーブルクロスに用いられていることがわかった。元々シーツやテーブルクロスに使用されていた純綿糸ではシワになりやすく、続くポリエステルなどの合繊糸では、シワになりにくいが、洗濯後に毛玉が発生しやすく使用耐久性に問題があった。そこで、毛玉の出ない糸構造となっているMJS糸が採用され爆発的に広がったのだ。加えて、高生産性と省力化を実現していることも米国の紡績市場に受け入れられた理由の一つ。「そうだ、この糸にしかない特長を活かす市場を、開拓すればいいんだ!」私はそこに、活路を見出したのだ。
だが多くの紡績会社は、興味を示してくれなかった。新しいものを取り入れるリスクを避けたいのだろう。結局、紡績業界が動くのは、アパレル業界の動きがあってのこと。「なら、アパレルから攻めよう」。私は繊維業界の川下からアプローチするという、前例のない挑戦を決意。アパレルとの直接のつながりはなかった。だがやれることから、地道に取り組んだ。商社の機械部に繊維部を紹介してもらってプレゼンをしたり、MJSに関心を持つ繊維業界紙の記者に紹介記事を書いてもらったり。アパレル業界からMJSの糸に興味を示してもらえるよう、できるかぎり手を尽くした。アピールしやすいよう、糸に「VORTEX」という名前をつけ、商標登録もした。何もかもが、前例のない取り組み。それでも私は、前しか向いていなかった。MJSとVORTEXの可能性を、強く信じて。

世界各国でVORTEXの品質をテストした報告書。世界中のお客様に品質を信頼してもらうためには欠かせないツール。
「話が聞きたい」といった引き合いは、徐々に増えていった。「毛玉ができにくく、乾きやすい」という点を評価してくれた衣料業界。「洗濯を繰り返してもタオルが痩せない」と評価してくれたタオル業界。「この糸はどこで買える?」という声がアパレル業界で高まっていった。それがとうとう、紡績会社の重い腰を動かす。MJS、そして次世代機のVORTEXが、売れるようになったのだ。本当に地道な、地道な活動の成果だった。
この成功の背景には、新人時代の苦労がある。当時の私は国内営業。部長はいつも「お客様には現場を見せてもらえ」と言っていた。だが私は何をどう見ていいかわかっておらず、お客様先から戻った後、部長に「どんな設備内容だった?」と聞かれても何も答えられないで「何を見てきた!」と怒鳴られた。再度見に行き、工程すべての設備を見てから帰ったら、今度は「何年製だった?」と聞かれ、また答えられずに叱られて…。指導方法は厳しかったが、部長には本当に感謝している。仕事のネタは現場にある、と、私に叩き込んでくれたのだ。
MJSの市場調査でも、私は現場を徹底的に調査した。すでにMJSをスクラップにされているお客様も訪れた。「こんな使えない機械をよくも買わせたな!」などと怒るお客様に謝りながらも、何が良くなかったのか、直接ご意見をいただいた。そうして自分自身で現場を見つめ、現場の声に真摯に耳を傾け続けてきたから、確信をもってやり遂げられたのだ。「MJSは売れる」と。
今やMJSとVORTEXは年間10億円以上の利益をもたらす、当社の稼ぎ頭。だが、この数字をもっと引き上げたい。私は10年後に年間500億円という売上目標を掲げた。社内のみんなが驚いた。だが夢ではない。物を買うには理由がある。その理由を徹底的に突き詰めれば、必ず実現する方法は見えてくる。そのためには、やはり現場を見て、現場の人と話すことが大切。部長に教わり、自ら体現してきたこの考え方を、今後も後輩たちに伝えていきたい。
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